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アマチュア無線を楽しむ JARL長岡クラブ会報
No, 174  4 Feb  2022 

今 人気のデジタルモード「FT8」を始めよう

 以下は ある日 私が  FT8で交信した時の パソコン(以下PC)の画面です。右側が、私が使っているログソフト(Logger32)の画面です。左側はFT8のソフトウェアで「JTDX」です。左上にはバンド内のウオーターフォール画面になっています。これを具体的にコールサインで表示したのが真ん中の現在運用中の18MHzのBANDMAPです。(JA分は表示しない設定にしています)ウオーターフォール画面下の小さい枠ははQSO終了後自動的にホップアップしてくるログ内容となっていてOKをクリックすると右のログにかきこまれます。
 見にくいので 順次 少しづつ分割・拡大していきます。

 局免許の申請・届出
最初に
局免許については、既にRTTYなどPCを接続している/いないなど申請や届出の必要性などいろいろなケースがありますが、取り合えずは 「アマチュア無線は 金銭上の利益のためではなく、無線技術に対する個人的な興味により行う自己訓練や技術的研究」ということでいずれのケース場合も聴く(PCで見る)ことや設備構築は、なんら問題はありませんので今回は詳細は記しません。但し現在の局免許は電波の型式を表示するのに一括記載コードが用いられていますのでよりややこしくなっておりますが FT8の電波形式の指定であるF1Dが含まれている記号で局免許上では指定されていると思いますので局免許上の指定事項変更は必要ないはずです。
あとでゆっくり研究していただきたいと思います。おそらくは事後の届け出で済むはずですのであまり問題はありません。

 無線局の構成
ですが 私の場合は、アンテナが無線機につながって、無線機がPCとつながっています。
 操作は、PCのソフトウエア上でほぼ100%(WSJT-Xのソフトはctr,shiftキーを使う場合がある)ワッチから呼び出し・リポート送信・受信・確認73まで マウスのクリックで完結します。それもオートシーケンスで基本的に完結します。この間、無線機を操作しなければならないことはありません。
 無線機は最近のUSB端子がついているのがUSBケーブル1本でPCと接続でき設定も簡単ですのでお勧めです。USBの無いちょっと前の無線機は信号関連のインターフェースを準備しなければなりません。また、PCの性能が運用に大きく影響するので もしも新しく始めるのであればちょっと1段くらい上のスペックのものを準備されることをおすすめします。また、FT8は時計が相手とズレているといくら強力な電波を出してもロスが生じてしまいます。(0,18秒のずれで約6dBのデコード力が低下するといわれています)PCの正確な時計合わせが重要です。ずれが大きい時には相手に合わせられるソフトも使います。また、いろんなソフトを立ち上げて交信を楽しむのでモニターも大きいことはいいことだとなります。私は現在23インチ1台ですが、もう1台欲しいところです。

上はワイドグラフです。バンドの状況が大まかに把握できます。信号の強さで色が変化し赤い色は大変強力の信号となります。この時は雪が降り続き、いわゆるスノーノイズで分かりづらいと思います。ごめんなさい。コントロールに レ点を押し表示内容を好みに応じ設定します。
横軸は、解読する範囲ですが無線機のフィルタ特性によりますが3000Hzはほしいところです。500の上の赤いマーカーは自分の送信周波数。緑のマーカは現在交信中の局の受信周波数となります。ちょっとわかりにくいところですが下の画像で確認してください。

 18MHzのFT8の運用周波数は18.100MHzですが無線機のダイヤルで周波数を変更するという考え方はありません。
今回の送信周波数はは18.098 500です。無線機で周波数を変更しなくてもFT8のソフトが設定してくれるのです。今回はTXが499Hz、そしてRXが1752Hzです。これは「DF」と呼ばれていて副搬送波周波数(トーン周波数)をセットします。画面ではTx/Rxスプリットとなっています。ここをクリックすると相手と同じ周波数での運用に切り替わります。ソフトで各バンドの一般的な周波数を設定しておくことが必要です。具体的運用は、ワイドグラフで空いている場所(DF)を見つけそこへ赤いマーカをセットし呼ぶことになります。
 説明を聞いても全くわからないと思いますが、QSOをしたい局を見つけたら空いてる場所を探してそこへ赤マーカをセットし相手のコールサインをマウスでクリックすれば呼び出しが始まります。
TX 15/45は、送信のタイミングのことです。50MHzでは、日本からの送信は15秒/45秒のタイミングで呼ぶことが運用上のルールとなっていますが、相手が15秒で出ているのを呼んでしまえば変わってしまいますが基本的なルールに慣れるよう普段から心がけております。




左は、受信周波数に関連する表示です。DF1752HzでCQを出していたHB9TVSをDF499Hzで-14dBのリポートだよ と呼んだら R-24(了解した・信号は-24dBだよ)と応答があり 了解したありがとう さよならとして RR73を 私が返したものです
。この段階でLOGに書き込むホップアップ画面が出てきます。
この後 ありませんが相手から 73 が返ってきて めでたく1QSO終了となります。
 1回ごとのシーケンスは15秒です。呼んでからはAutoSeqで73まで 何もすることなくソフトでやりとりが進みます。下の画像の順に約1分で終了します。  ただし混信やQSB等でシーケンス通り進まない時は再度同じシーケンスを再送し合います。
また、HB9TVSからのリポートの-24dBというのは、FT8ではギリギリ見える リポートです。それに比べ 084245UTCのG4RIQからのリポートは+02dBとなっています。(これはローカル並みの大変強力な信号に相当します)
このようにFT8では信号の強弱に関わりなく同じ見え方をすることがわかると思います。弱い信号も強い信号も同じように見えるということが特徴です。また、お互いのリポートはソフトが判断しますので運用者が勝手に変更したりできません。

上の図で SkipTx 1 にレ点が入っていますがCQに対しての呼び出しでTX1(グリッドスクエアPM97付きで呼びだし)をスキップしていきなりシグナルリポート付きで呼びますよということです。BAND状況・相手の応答状況等で呼び方も変わってきます。
 PCの時計合わせが重要だと前に書きましたが、Windows搭載のPCにはインターネット時刻サーバーと自動的に同期させる機能がありますがその周期と精度は全くアバウトでFT8を運用するには使い物になりません。
かといってFT8を始めるたびにマニュアルでPCの時刻合わせをするのは面倒ですので 私はUSB端子に差し込める左の写真のようなGPSレシーバーを使用しています。Amazonなどで1K~2Kくらいで販売されています。同じ品名でも動かないものもあるということを聴きましたが私の場合はドライバ等をいろいろ入れ替えたりしてちょっと設定に手間取りましたがコンテナハウスの環境でもGPS信号を受信し幸い動作しています。
 時刻校正のソフトもいろいろなものがリリースされています。私は、NTPサーバーと同期させつつさらにGPSでも監視し かつ手動で相手に同期させることもできる「BktTimeSync」フリーソフト?を使っています。イタリアのアマチュアが作ったものです。これはDX ペディションで離れ小島やインターネット環境がない場所などでの運用では大きく時計が狂ってしまっても気付かない場合があります。当然自分のPCと大きなずれが生じLossでなかなかQSOに至りません」
 上の左画面のDTが相手局と自分の時計の差を表示しています。HB9TVS局とはなんと-1.3秒の差があることを表示しています。(幸いにして今回は ずれたままでQSOが成功しています)そんな時に相手の時間に合わせるソフトが必要となってくるのです。これは大変便利な機能で この場合はソフトの設定を +1.3 とし相手と同期させます。私はこの手順で 何度も 他の強力な局よりも早く珍局とQSOをしています。
 PCの性能と時計の精度が、FT8を楽しむ上では重要となっています。PCの性能とFT8運用の関連については別の機会にします。

良くワッチする(見る)ことはFT8も変わらない基本
 
簡単にFT8の運用について書いてきましたが今までのSSBやCWなどの運用と基本的なことは全く変わりないと思っています。
先日、FT8でいくら呼んでも飛ばない(応答がない)ことがありました。相手の信号は強いのに 、そして他に呼んでる局もいないし何で応答がないのだろうとおもいながら しばらく呼び続けました。全く応答がなくまるで無視されているような印象です。
 おかしいと思い呼ぶのをやめてウオーターフォールを見るとなんと私の呼んでるDFが真っ赤でした。他の局が同じ周波数で運用していました。
FT8では自分の送信シーケンスはモニタ出来ないので同じDFで他の局が運用してることは分かりません。飛ばないなぁと思って呼ぶのをやめて初めて 「あっそうか強力な局にス分されていたのか」と飛ばない理由を理解します。ただ、FT8では 同じDFで何局かが運用していてもそれぞれ解読できるのですがあまりにも信号の強さに差がある場合は無理なのかもしれませんね。このような状況は何回か経験しました。友達も同じ経験をしています。なぜか被せて呼ぶ局は大変強力です。他の局が運用していても関係ないとばかりに良くワッチもしないで出てくるなんてことはないと思いますが・・・最後は愚痴になってしまいましたがFT8もSSBやCWとおなじで基本はワッチです。そして相手の指定に従うことです。ソフトで交信相手の国などを指定できます。CQ NA なのに JAから呼んでることを見かけますがやめましょう。50MHz帯では特にその重要性を感じます。夏至頃に オープンするマルチホップのEスポによる交信などは長時間オープンすることは滅多にありません。珍局のCQを見落としたら交信をあきらめるしかないくらいに注意してみている必要があります。そして自分はどこのDFで呼ぶか準備しておくことが必要なことです。FT8の交信についていろいろ思いつくままに書いてみましたがもう一つだけ。それはFT8などのデジタルモードは記録に残しやすいということです。ソフトで指定すれば受信状況などを記録として残せます。また、自分の電波がどこらまで飛んでいるかも見ることができます。自分がいま見ていない周波数帯での伝搬状態を確認することが可能です。
どこまで自分の電波が届いているかな?
 FT8のソフト(JTDXなど)の設定で 「PSK Reporter」といわれる電波伝搬の可視化ツールへ自身の送受信波の情報をリアルタイムで飛ばすことができます。もちろん目的局など他の局もも同様ですから周波数やモードなど現在どこら辺まで到達可能かなどが判断できます。 言わずもなが ですがFTDXなどのソフトで設定登録しインターネット環境があるのが前提です。下の画像がそれです。バルーンが無線局です。右側の真ん中あたりがJAです。画像をカーソルで拡大できますので誰がいま無線機の前にいるかもわかってしまいます。PSK Reporterが立ち上がっていることはもちろん必要です。画面の詳しい説明は要らないと思いますが ある相手のバルーンをクリックして出てきたのが左下にあるのがデータ内容です。もう1台MONが欲しい理由の1つです。



編集後記
 今回はFT8について書いてきましたが、少しは興味がわいたでしょうか?あれはどうなっているんだとか質問がありましたらクラブのメーリングリストで書き込んでください。わかる範囲でお答えします。
分からないことは調べますのでどうぞ気楽にお願いします。全世界で拡大が続くFT8(デジタルモード)の魅力ぜひ体験していただきたいと思います。
なお一番最初のモニターの全画面は意識してぼやかしてあります。ご了承ください。

 オミクロン株に変異したコロナウイルスが日本中を我が物顔で飛び回っています。わが周りにも、もちろん飛んできており大騒ぎです。これだけ拡大すると社会生活が成り立ちませんね。
 それでもアマチュア無線は楽しめますとか、言っておりましたがなんと今度は大雪です。わが無線室(工事現場から 払い下げの小さい中古のコンテナハウス)の入り口も右の写真のように塞がれそうになっております。  
 一応デジカメで撮った写真なのですが白黒写真になっています。かろうじて撮影日時でカラーとわかりますが・・・昨年暮れに建てたLowBand用の受信アンテナも雪が付着してやっと頑張って立っています。いつまで雪が降るのでしょう、いい加減収まってと言いたくなりますね。
そんなわけでちょっと2~3日無線の方はお休みしています。
 でも 皆さんも昨日豆まきをされたり 恵方巻を食べた方も多かったことと思います。我が家もやりました。昨日は節分、本日は立春です。着実に春が近づいて来ています。(なかなか 今日この頃の雪の降り方では感じられませんが・・・影の声です)
 そして中国では冬季オリンピックも開催されています。郷土関連選手のみならず そして日本の選手のみならず すべての国の選手を応援したいとおもっています。みんながんばって!!!
 コロナが終息して皆さんと 楽しくお会いできることを待っています。                                       DE JA0DET