非常通信訓練JE2ZND活動報告2004
---FMに加えインターネット経由の非常通信訓練も計画---

JR2TDE 佐藤公治
掲載開始日:2003.10.30

【はじめに】
 9月には東南海沖で震度4程度の地震が発生し東海地震に対する緊張感が増している。また訓練の前週には台風23号が日本全体に被害をもたらし、前日には新潟で地震があった。そんな中、平成16年10月24日JARL愛知県支部非常通信訓練が行われた。
 今年は2002年に続き2回目の本部基地局を運用することとなった。主な訓練内容は、第一部としてJARL愛知県支部主催で午前9時から11時に例年通り県内局と144MHz帯(以下M), 430M, 1200M FMで交信訓練。第二部は当クラブ主催で午前11時からD-STARやWIRESを使いインターネットを介して県内および県外局と非常通信訓練を行う試みとした。

【準備】
 訓練の一週間前にアンテナとリグの整備を行った。1200のGPをレピータ用とは別に設置した。また144/430のGPの同軸も新品に交換した。それぞれの周波数帯に一台ずつリグを設置した。SWR計にてアンテナとリグのテストを行った。また訓練に使う各レピータ(439.86Mと1291.78M)のSWRと出力もチェックした。
 JARL newsの他、地元ハムクラブのメーリングリスト、日赤愛知無線奉仕団、愛知RB隊、D-STARメーリングリスト、WIRESメーリングリストなどで広くアピールした。

【本番 第一部JARL非常通信訓練】
 当日八時半にシャックへ集合した。各リグの最終点検、D-STAR用コンピューターの設置も行った。JARLからJA2DEX柴田OMとJF2WGI水野OMに来て頂き、9時前オリエンテーションが始まった。今回は、9時から10時までは430Mと1200Mサブ基地局、144Mは一般訓練参加局として運用、10時からは本部局として集計することとした。各周波数帯の担当を二人ずつ決めた。さらに本部局係り、統計係りを決めた。残った者は屋上から144/430/1200Mのハンディトランシーバーを使い、各地のサブ基地局に交信を試みることとした。
 九時から早速、430Mと1200M八事レピータでサブ基地局を運用開始した。430M担当はJG2CZC伊藤とJI2HHI由良。144MはJP2POB中川。1200MはJM2IJF松本とJI2SWN浅井でスタート。と思ったら早速ハプニング。1200Mのリグに音声が乗らない。送信すると無変調になってしまう。八事レピータのふもとでの運用なので即座にハンディトランシーバーに切り替えて訓練を開始した。

144M・430Mの訓練1200Mハンディトランシーバーでの訓練

 またJR2TDE佐藤は、D-STARを利用しDDモードでインターネットの模擬情報(愛知県NPOのホームページ)を得つつ情報収集した。サブ基地局はオペレーターを交代して自分のコールサインでも訓練を行った。JQ2BPE敬太は各周波数においてハンディトランシーバーでアクセスや訓練写真撮影係。
 10時になり一般参加局の訓練を終了し交信局数を統計処理した。それぞれの周波数でサブ基地局から情報を受けた。最後1200M春日井サブ基地局との連絡が取れなかった。どうも訓練参加できなかったようだ。
 本部局に情報を集め、10時24分には統計が終了し、各サブ基地局に結果を報告し10時半には全員写真を撮り第一部は終了した。

全員写真

【第二部 インターネット利用の非常通信訓練】
 第二部は、我々クラブで独自に設定したプログラムである。インターネットを利用し通常のFM交信圏外との情報交換ができるかどうかを検討した。430MはJN2AES局の協力を得てWIRESを使った訓練を設定。439.86MHz八事FMレピータにWIRES ID 5215 JN2AESを接続できるようにセットした。JA1YCQの協力のもと#0549Dのルームを使わせてもらうこととした。これにはJS1CYI吉沢OMにご尽力頂いた。やはりノード対ノードよりルームが使えることはワッチできることもあり有意義であろうと考えた。11時にWIRESルームのノード#0549DにDTMFの付いたハンディトランシーバーでアクセスしコネクトした。各地からコールが始まった。今までの使い慣れたFMモードとちょっと違う運用にとまどいながらDX QSOを実感した。運用WIRES写真はop.JM2IFJ松本。

WIRES写真

 もう一つのD-STARの企画は、9時から10時まではDDモードで無線LAN同様にインターネットに繋げて情報収集や掲示板などの利用ができるかの検証、11時からはDVモードで各地とのインターネットを介した音声QSOの試みを予定した。JP2YGG名古屋市昭和区DVレピータを介してJE2ZNDを各地から呼んでもらった。思ったより聞き慣れてない音で、またFMより伝搬は悪く感じた。天気は曇り。運用DSTAR写真はop.JR2TDE佐藤。

DSTAR写真

【結果】
 結果は表1のごとくで、第一部において144Mで73局、430Mで67局、1200Mで99局、総数239局であった。このうち当クラブでは430Mレピータで29局、1200Mレピータで30局と交信ができた。
 第二部では、事前の練習もなくはじめた。WIRES参加局は全国から呼んでもらい10局と交信した。D-STAR参加局は地元局が多く9局に留まった。アシスト局経由の熱田レピータ、インターネット経由の春日井レピータ経由とも良好にQSOできた。

【考察】
 今年は、台風が10個も上陸、あちこちで土砂災害も多い。また地震も多く発生している。平成9年よりこのJARL愛知県支部の非常通信訓練も少しずつ参加局数が減っている。一時には300局を超えた年もあった。災害は忘れた頃にやってくる。日ごろから災害対策訓練を行うことが重要である。JA2DEX柴田氏は訓練前に「うまくやる必要はない、気持ちが重要」また「記録の残る通信、以前流行ったパケット通信、SSTVなどもやはり必要だろう」と話していた。
 今回、我々はインターネット経由の非常通信訓練を試みた。D-STARのDDモードでインターネットに繋げることは、携帯電話が不通であったり無線LANが壊れているときに有功となろう。もちろんゲートウェイ局が生きていなければならないが。DVモードは、いまのところユーザーも少なくエリア外との通信となるとユーザーの多いWIRESに軍配が上がる。WIRESはノード局以外も使え、音質も意外と良かった。ここのレピータにも直接WIRESを繋ぎたいが、いまのところグローバルIPが得られるインターネット回線の用意に難渋している。
 来年度は、D-STARでの画像転送やフィールドでの利用などを考えてみたい。またWIRESはJN2AES上野OMがすでに車に設置して移動ノードを運用している。これを訓練会場に設置して情報交換することも考えたい。

【まとめ】
 今年も8月末の愛知県防災訓練の一環である防災ボランティアの訓練に参加した。当クラブの整備するレピータはロケーションが良く、その際にも愛知県内のかなりのエリアと交信できた。災害時には非常電源が働き、non-stopで運用できるようにしてあるので、ボランティアとの連絡等に活躍できるものと確信している。

参加各局へ
 10/24のJE2ZND非常通信訓練は各局のご協力のもと無事終了しました。第一部は総数239局、うち八事レピータでは59局と交信できました。第二部WIRESは10局、D-STARは7局と交信できました。詳細はCQ誌やホームページに掲載予定です。
 今後も、八事レピータを災害時に活かせるよう整備し活動していく所存ですのでよろしく御願いします。
 ありがとうございました。

訓練結果 第一部

サブ基地局QTH県内交信局数県外
シンプレックス



144JK2NFG名古屋市西区174

JI2ZKC佐屋町197

JI2ZML小坂井町162
430JI2ZKC佐屋町90

JI2ZVP弥富町112
1200JI2ZKC佐屋町121

JI2ZVP弥富町121
レピータ



430JO2BUMJR2WB中区71

JE2ZNDJP2YGB昭和区263
1200JA2ATSJP2YFO刈谷市131

JA2JCVJP2YFG常滑市202

JE2ZNDJP2YGB昭和区282







合計19026

総合計一般参加地区サポートサブ基地局本部局合計
1446523373
4305932367
12009222399
合計216779239

訓練結果 第二部
WIRES10局


JA1NLU神奈川
JM2IQC静岡県下田
JG3EBB東大阪
JA2CGK小牧
JE2SOY岐阜
JS1CYI東京
JH9TJT石川
JR2TER愛知県宝飯郡
JJ3BDG奈良
7N4PVM神奈川

D-STAR7局


JA2QEK熱田経由
JA2QEK春日井経由
JA2ATS昭和区経由
JI2ZUY熱田経由
7L1FFN/2熱田経由
JE2SOY昭和区経由
JF2VYY三重県安芸郡