上級ハムの国試問題をうだうだ解くコーナー 第1弾 


平成27年12月1アマの無線工学から、めんどくさそうな問題を抜粋        AEGの部屋に戻る

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A-1
図に示す、真空中に置かれた二つの平行平板の電極間に、電極間隔 d の2/3の厚さの誘電体を挿入したとき、静電容量の値は誘電体を挿入する前の値の何倍になるか、正しいものを下から選べ。ただし、誘電体の比誘電率は 4 とする。



1 1.5倍
2 2.0倍

3 2.5倍
4 3.0倍
5 3.5倍


のっけからめんどくさそうな問題で、思考停止になりそうです。
何も考えずに1つ選べば五分の一の確率で正解と遭遇できます。
選択問題は答えがいづれかにあるので、自分の計算が正しいか、ある程度確かめることができます。


この問題
C=ε₀εr S/d   C:静電容量  ε₀:真空の誘電率 εr:誘電体の比誘電率 S:面積 d:電極間の距離

この式を知っていないと黄色い文句を遂行しなければなりません。

この式は右辺が少々覚えづらいですが C=ε₀εrS/d 平行平板電極は電極の面積に比例し、距離に反比例する ※1
どこかで見たことある式にε₀ εr の乗数付いたものです。式をこうやって覚えます。
ε₀
は真空の誘電率、εrは誘電率ではなく誘電率です。誘電体の誘電率はε₀εrです。
なぜ念を押しているかというと誘電体の方は真空ではないからとε₀を掛けないで計算してしまう危険性があるからです。
もちろん、答えが選択群の中にあるわけがない!


問題を整理すると、
アの真空電極の静電容量と...
アの3分の1の距離の真空電極イとアの3分の2で比誘電率が4の電極ウの合成容量イ+ウを比較した場合

イ+ウの合成容量はアの何倍の容量になりますか?
という問題



この問題を解くとき、 ε₀ が出てきますが 具体的数値であるε₀ ≒8.854×10-12 (F/m) は必要ありません。





アの容量C₁は
C₁=ε₀S/d …①

イの容量C₂は
C₂= ε₀S/d/3  3階建ての分数を2階建てに直す。
  = ε₀3S/d


ウの容量C₃は
C₃= ε₀4S/2d/3 3階建ての分数を2階建てに直す。
  = ε₀12S/2d 
約分する。
  = ε₀6S/d


イとウの合成容量C₄は直列接続なので和分の積 C₄=C₂C₃/C₂+C₃ ※2

それぞれ代入すると

C₄ε₀3S/d ×ε₀6S/d / ε₀3S/d +ε₀6S/d  4階建ての分数のまま、まず「和分の積」の和を計算。積を計算する。
  =ε₀²18S²/d² / ε₀9S/d 4階建ての割り算だと計算ミスしやすいので真ん中の割り算を掛け算に直して2階建てにする。
 
 =ε₀²18S²/d² × d/ε₀9S 約分する。
  =ε₀2S/d …②

①と②のC₁とC₄を比較すると合成容量C₄はC₁の2倍

ということで答えは2番の2倍が正解




※ いまさら聞けない電気理論の基礎

※1
コンデンサーの電極は面積が大きくなると電気を貯める場所が大きくなるから容量が増える
一方、電極の距離が離れると引き付けあうエネルギーが落ちるから静電容量が減る 


抵抗の合成抵抗は直列だと抵抗値が上がるが並列にすると下がるのは・・・・












イメージとしては
道路で事故渋滞の先に又事故があると渋滞はさらにひどくなる。これが直列。A+B
高速道路でゲートがあってもゲートの数が増えれば増えるほど流れやすくなる。これが並列。AB/A+B

※2
コンデンサーの場合、合成容量は・・・















イメージとしては
並列は電気を貯める面積が増えるのだから、合わせれば容量が増える。 C₁+C₂
直列の場合縦に並べるとそれぞれの電極に貯めるための引き付けあうエネルギーが均一化されてしまう。 C₁C₂/C₁+C₂


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