上級ハムの国試問題をうだうだ解くコーナー 第5弾 


平成27年12月1アマの無線工学から、めんどくさそうな問題を抜粋        AEGの部屋に戻る

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A-20
半波長ダイポールアンテナに100[W]の電力を加え、また、八木アンテナ(八木.・宇田アンテナ)に20[W]の電力を加えたとき、両アンテナの最大放射方向の同一距離の地点で、それぞれのアンテナから放射される電波の電界強度が等しくなった。
このとき八木アンテナの半波長ダイポールアンテナに対する相対利得の値として、最も近いものを下の番号から選べ。
ただし、log
102≒0.3とし、整合損失などの損失は、無視できるものとする。

1 3[dB]     2 5[dB]    3 6[dB]    4 7[dB]    5  9[dB]

このような問題では必ずイメージしながら絵を描くことにしています。



100(W)/20(W)=5
見た通りこの八木アンテナはダイポールと比べて5倍の利得があります。
結局、この問題、5倍はパワー比で何デシベルですか? と尋ねているのです。

デシベル[dB]という単位の理解と計算ができないと解けない問題です。
ここでは、「指数」とか「対数」とか数学の用語は使わないことにします。
でも「log」は出てくるので、解き方は説明します。

ちなみに
電力比をデシベルで表すと、
10倍は10デシベル、
100倍は20デシベル、
1000倍は30デシベル

計算の仕方
倍は電力比 で y [dB]   これを求める関数は y=10log10 です。

求め方は、まずlog
10の部分、10を何乗するとXになるか?
たとえばxが10ならば・・・10を
1乗すると10になります。 
この値
110を掛けると10   y=10[dB]。
以下同様、
100102乗、2×10=20デシベル、
1000103乗、3×10=30デシベル。

問題には 
log1020.3とあります。・・・・・100.3乗すると約2になる。ということ。
深読みすると、これを使わないと解けないということです。

電力比はlogの前に10がつくから
10log10210×0.33[dB](デシベル)
「電力比で2倍は約3デシベル」になります。

でも求めなければならないのは5倍です。
だから、ここからデシベルの計算が必要になります。

ポイント:
デシベル計算の基本:デシベル同士の足し算、引き算は倍数の掛け算、割り算

それを考慮して当てはめると、5倍=10(倍)/2(倍)
デシベル計算に直すと10[dB]-3[dB]=7[dB]
したがって正解は 4の7[dB]
 


いまさら聞けない
ログ[log] と デシベル[dB]について!

[log]は以下の関係にあります。


デシベル[dB]は「**対して何倍になるかを表した単位」ですから、かならず基準
(※2)としている条件(※1)があります。
それを0[dB]としています。言い換えると、0dBは0ではなく1倍です。

デシベル単位を用いる利点は・・・・
〇△を基準として1,000倍、10,000倍、1000,000,000倍になった数値を表しも、感覚的にピンときません。
つまり、数値が乗数で大きくなるものには便利な単位です。
前述しましたが、
電力比をデシベルで表すと、
10倍は10[dB]、
100倍は20[dB]、
1000倍は30[dB]
1/10倍は-10[dB]

電圧比を求める関数は
y=20log10

10倍は20[dB]、
100倍は40[dB]、
1000倍は60[dB]
1/1000倍は-60[dB]

余談ですが・・・
筆者が駆け出しのころは音声信号は電圧比で2倍は6dB、電力比で2倍は3dBと丸暗記させられました。

※1

どの様な条件になるかは y=**log
10X で決まります。 基本的にlogの前の**が異なってきます。
筆者が使用していた**は10か20くらいでした。

※2
この問題ですとダイポールアンテナが基準です。
八木アンテナの利得はダイポールアンテナに比べて何倍になるかをデシベルで表すことが多い。
(八木アンテナはダイポールを発展させたアンテナですから・・・)

アンテナ利得の表し方で[dBi]がありますが、これはアイソトロピックアンテナを基準にして、その何倍かをデシベルで表した単位です。
デシベルには[dBm],[dBi],[dBv]の様に色々な種類があり、それぞれ基準が異なります。dBの右ヨコの小文字に注意しましょう。

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