上級ハムの国試問題をうだうだ解くコーナー 第3弾 


平成27年12月1アマの無線工学から、めんどくさそうな問題を抜粋        AEGの部屋に戻る

*******************************************************************************************

A-5
周波数 50 [MHz]の正弦波交流において、位相差5π/6[rad]に相当する時間差の値として、最も近いものを下の番号から選べ。
1  4.2  [ns]
2  8.3  [ns]

3  16.7 [ns]
4  83.3 [ns]
5 166.7 [ns]

「位相差」ってなにかわかりますか? [rad]わかりますか?


まず、「位相差」、ひらたく言うとA、B二つの波(同じ周波数)の時間的ズレを言います。

図1をご覧ください。
この場合Aの波に対しBの波の時間的ズレは90度といいます。このように角度で表すのを「度数法」といいます。
別の表し方として、Aの波に対しBの波の時間的ズレはπ/2[rad]ともいいます。[rad]ラジアンという単位で表す「弧度法」です。

今さらですが・・・・、図1のAの波で同じ繰り返しがでてくるまでを白で描いています。
具体的に説明すると、x軸の時間は左から右に進みます。y軸は振幅です。
左端から出発して上がって下がり、一旦もとの高さに戻りさらに下がって上がり元の高さに戻る、ここまでを1サイクルと言います。

図1

















図1は問題が正弦波で出題されているので、それで表していますが、図2左の「矩形波」や右の「のこぎり波」でも、どこからどこまでが1サイクルかは同じです。

図2








図3のA点から出発して
1サイクル分の線のある一点の時間的位置を一周360度の角度で表したものが度数法
1サイクル分の線の位置関係を1週2πの円の弧の長さで表したものが弧度法です。
一周360度は分かるとして、
素朴になんで1周が2πなのか?
半径rの円の円周の長さはrを1とすると半円でπ、一周で2πになるからです。


学校で半径rの円周の長さを求める式で 2πr を思い出してくれましたか?

図3
















例によって前置きが長すぎましたが、ここからが解説です。


まず、50MHzの1サイクルは何秒になるか?
今さらですが1秒間に1サイクルは1Hzです。
1秒間に1,000サイクルは1KHzです。
1秒間に50,000,000サイクルは50MHz

ポイント: キロ、メガ、単位が判りやすいように三桁毎に( , )をつける。
計算間違えが減ります。
50MHzの1サイクルは1/50,000,000[s] (1/50,000,000秒)です。

問題では位相差 5π/6[rad] とあります。
まず、図4の様に絵をかいてみましょう。(このような作業が大事)
 
5π/6[rad]はπの5/6ですから、言い換えると1サイクルの半分の5/6ですが、
理解しやすいように1サイクル(2π)分区切りました。


1サイクル1/50,000,000[s]12等分
AとBの位相差が一目でわかります。

図4


















図4が50MHzとすると1サイクル1/50,000,000[s]
1サイクルは2πラジアン、見た通り5π/6ラジアンの位相差は5/12であることが分かります。
だから、1/50,000,000「s」の5/12が時間差になります。

1/50,000,000×5/12
=1/10,000,000×1/12
=1/120,000,000
=0.00000000833
33333・・・・・[s]

1サイクルの半分の6等分のままで計算する場合、
1/50,000,000[s]を2で割って1/100,000,000[s]×5/6で計算します。
1/100,000,000×5/6
=5/600,000,000
=0.000,000,00833
33333・・・・・[s]


この時点で正解が4であることはわかりますが・・・

0.00000000833
0.001=1ms ミリセカンド
0.
000001=1μs マイクロセカンド
0.
000000001=1ns ナノセカンド
0.00000000833=8.33ns

よって4番が正解

このように3けたづつ整理すると計算ミスが避けられる。


*******************************************************************


代数を使った別の計算方法 (個人的にはこの計算方法で解きます)

50MHzは1秒間に1サイクルの繰り返しが50,000,000回あるので、
1サイクル分の時間は1/50,000,000[s]  sはセカンド(秒)
数字の桁が大きいと計算ミスを犯し易くなるので乗数を使ってスッキリさせる。
ポイント:マイナス3乗、マイナス6乗、マイナス9乗になるようにするとミリ、マイクロ、ナノに変換しやすい。

1/50,000,000=1/50×10⁻⁶[s]
=0.02×10⁻⁶[s]
=20×10⁻⁹

図4の様に絵を書いてみる

図4













弧度法で1サイクル2π[rad]  ラジアン
50MHzの(1サイクル)2πの時間は20×10⁻⁹[s]

問題の位相差は5π/6[rad]

2πが20×10⁻⁹[s]ならば5π/6[rad]は何秒になるか?

どこかで習った「内向の積は外向の積に等しい」を使います。

20×10⁻⁹×5π/6×=2πΧ(エックス)
100×10⁻⁹π/6=2πΧ
100×10⁻⁹π/12π=Χ
100/12×10⁻⁹=Χ
8.33・・・×10⁻⁹=Χ

10⁻³は[m]ミリ
10⁻⁶は[μ]マイクロ
10⁻⁹は[n]ナノ

Χ=8.33[ns]

よって4番が正解


桁が大きくならずに計算ができます。

*******************************************************************************************

このページのTOPに戻る