上級ハムの国試問題をうだうだ解くコーナー 第16弾      


平成28年4月2アマの無線工学から、めんどくさそうな問題を抜粋        AEGの部屋に戻る

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A-1

図に示す回路において、コイルに生じる磁束が同じ向きになるように、コイル L₁ 及び L₂ のインダクタンスがそれぞれ 40 [μH] 及び 60 [μH]、端子ab間の合成インダクタンスが 180 [μH] であるとき、相互インダクタンスMの値として、正しいものを下の番号から選べ。

 

1     20 [μH]

2     30 [μH]

3     40 [μH] 

4     60 [μH]

5   100 [μH]

 

コイルの直列接続の合成インダクタンス L  を求める式は下のいずれかです。
(下図はコイルに鉄心が入っていますが、巻いている方向を示しているだけで、空芯でも同じです。)

L = L + L + 2M   「コイル L₁ 及び L₂ に生じる磁束が同じ向きの場合」  ①

L = L + L - 2M    「コイル L₁ 及び L₂ に生じる磁束が逆向きの場合」  ②

問題は ➀ に該当することが分かります。
あとは数値を当てはめて計算するだけです。

180 [μH]  = 40 [μH] + 60 [μH] + 2M

180-40-60 = 2M

80 = 2M

M = 40 [μH] 

正解は ③ の40 [μH] 

問題にもあるように、同方向に巻いた合成インダクタンス L L + L₂ で 100[μH]  
にはならず 180[μH] になるところにコイルの特徴があります。
上記にあるように、同じ向きのコイルを途中でつなぐと、それぞれの持つ自己インダクタンスの和 L₁ + L₂ に加えて相互インダクタンス 2M が加わります。
逆向きのコイルをつなげば L₁ + L₂ に-2Mを加えます(実質2M差し引く)。

<いまさら聞けない>
なぜ自己インダクタンスに相互インダクタンスが加わるのか?

   コイルに電流を流すと赤の方向(右ネジの法則)に磁力線ができ、コイルの中心にはかき集められるように黄色の方向に磁束が走ります。

   この磁束はコイルの巻く方向と電流の方向で決まるので、同方向に巻くのと、逆に巻くのでは磁束の方向が変わります、協調状態になるか、対立状態になるかで、トータルのインダクタンスに相違がでます。これが相互インダクタンスが加わる理由です。

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