夜明け前

1975年3月、船橋市役所防災課では災害時の通信手段としてアマチュア無線局の活用について検討を開始した。

翌年、船橋市役所アマチュア無線クラブと市内のハム有志が中心となり、市内のアマチュア無線局484人を対象に防災課の趣旨を含め実態と意識を調べる事を目的としたアンケート調査を行った。 その結果150人から協力したいとの回答が得られた。

時を同じくして船橋市議会でも「アマチュア無線を災害時の通信手段と位置づけて情報収集等に活用できないか」との質問を受け、行政としても市内のアマチュア無線局の組織化に本格的に取り組む事となった。

当時の船橋市は東京のベットタウンとして住民数もハム人口も急増していたが、地域クラブなどのハムの組織化は殆ど皆無の状況であった。

1976年10月、協力を志望した有志の局により仮称『非常通信協議会』が組織された。

三兄弟の誕生

1977年10月、趣旨に賛同する市内在住のハムの輪は増大し『船橋市アマチュア無線非常通信連絡会』と改称した組織が発足し、事務局を市役所防災課に置く事になった。

間もなく組織整備や共有コールサインの必要性、およびこの組織の拡大を望む隣接市町村のハムの要請をも含め、地域クラブ『船橋市アマチュア無線クラブ』が誕生した。

又、災害時でのレピーターの有効性は高く評価されている事は周知のとおりで、船橋地区にも是非設置したいとの気運が有志のなかで高まっていった。

1984年市庁舎屋上にレピーターを設置すべく船橋市長に同意を求め、間もなく承認を得、直ちにJARLにレピーター設置の手続きを行なったのは現在の『JP1YDI局管理団体』であった。

かくして船橋地区には災害時に市に協働し活動する三つの組織が誕生し現在に至っている。

JP1YDI局の誕生

レピーター設置に賛同したハムを中心に多くの協力団体等からの会費や募金により、資金の調達が揃い管理団体が誕生した。

1984年9月、市長の設置同意書を添えJARLにレピーター局開設の申請手続きを行った。

1985年3月、1200MHz帯・10W局コールサインJP1YDIの発給を受けた。

1985年9月21日、送信周波数1292.72MHz、受信周波数1272.72MHzで市役所屋上より運用を開始。

1991年5月、2400MHz帯出力1Wでの増設が認可された。

1991年7月17日、送信周波数2425.30MHz、受信周波数2405.30MHzで同じく運用を開始。

満29歳

1200MHz帯では開設当初、機器の故障が続きたびたび運用不能に陥りユーザーにご迷惑を掛けていた。

その後機器の整備や定期的点検などの結果安定して現在は24時間運用を継続している。

開設した当初より数年は珍しさもあり利用者も多く、音声BBSなど先端技術の活用方法などを模索した実験的利用の時期もあった。

当時、各地に設置されたレピーターの実情は構成員が所属するクラブのクラブ・チャンネル化や、管理団体の意に沿わぬ特定クラブに占拠されるなど本来の目的外の利用が横行していた。

現在でも一部のレピーターでは主に物流関係ドライバーにより情報交換の道具として利用されているのは嘆かわしい。

当レピーターではマナーに反する利用者に対し、構成員を始め関係者がご指導する権限を実行している関係からかマナーの良いレピーターとして自負できる。

設置場所が海抜で有利なので広域のサービスエリアを有し、東京湾の南部は海ホタルから湾岸一帯を始めその隣接地からのアクセスが容易である。

機器の設置場所は船橋市役所が管理する構築物内にあり、盗難や破損の心配もなく運用が続けられるが、保守点検時にも入場手続きを要する事など、保安が行き届いている事も安定して運用が継続出来る基とも言える。

設置以来、年に一度市庁舎の定期的電源点検日には庁舎の全ての電源が遮断され、レピーターも自動的に運用休止となる。定期的運用休止の情報は事前にレピーターでアナウンスすると同時にこのサイトでも掲示している。

このレピーターの使用にあたっては前述の通り、当地区が大災害に遭遇した時、災害情報の収集に活用する目的から、かかる災害が発生した際は一般の利用を制限する場合がある。

当レピーターのホームページは構成員の個人サイトから2001年7月に初版を開示し、2010年5月JARLのサイトから更新版として開示しました。

JP1YDI局の閉局

間もなく30歳を迎える時期ではありますが、管理団体員の高齢化から構成員資格の欠如を始めとするメンテ管理が困難になっていました。この際免許期限となる2015/03前に更新を諦め正常運用している現在、年内に停波する事に決まりました。代表者を始め緊急連絡者の病気などでお知らせの遅れました事、お詫びいたします。長い間ご利用下さいました皆様にはご迷惑をお掛けしますがご理解下さいまして、又の出合いを楽しみに致したいと思います。