PJ−40(PJ−80改)製作マニュアル     JARL岡山県支部20090912










 

 PJ-40は、中国製3.5MHzARDF簡易受信機PJ-80キット(パーツセット)を改造して、7MHzを受信できるようにするものです。
 バリキャップ同調のダイレクトコンバージョン式で、感度や安定度は大したことがありませんが、低コストなのがうれしいところです。
 基本のパーツセットに、7MHzのFCZコイル、周波数安定用の三端子レギュレータ、周波数調整用コンデンサ・抵抗、パスコンをプラスします。
 










 

 キットづくりの第一歩は、不足パーツのチェックです。・・・が、抵抗・コンデンサの類は、あまり気にしない方がいいかもしれません。周波数改造を施しますので、パーツ変更による調整が必ず必要になります。また、過去、バージョンによっては、周波数安定度を著しく損なう不適切なパーツが使用されていたこともあるので、自分の利用形態に合わせて、どんどん改良するつもりで臨む方がいいかもしれません。
 製作初心者さんは、製作講習会のように相談できる場での利用が望ましいかと思います。

















 

 パーツについて、一番苦労するのは、ダイオードの識別でしょう。3本ありますが、使うのは2本です。
 1N60、FV1043については、表面の文字が何とか見えるかもしれませんが、ルーペで確認してくださいね。今回使うのは、この2本だけで、安定用の3V6は、三端子レギュレータの使用に置き換えます。もちろん、オリジナル通りに作ってもかまいませんが、安定度は劣ります。過去、4A2だったかの表示があったこともあり、必ず3V6が使われているかどうかは不明です。
 最悪、黒い極性識別ラインの太さをパーツ識別の参考にしてください。(100%の信頼は難しいですが)
 PJ-40では、T2は使いません。FCZコイルを利用して使い回しをします。(オリジナルの3.5MHzの場合は、本来の使い方をし、FCZコイルは使いません。


 

















 

 PJ-80は、3.5MHz用の受信機ですが、局発を半分の1.75MHz辺りで発振させて、2倍の信号を使ってダイレクト・コンバージョンさせます。周波数改造をしたい(PJ-80をPJ-40にする)場合は、局発のT2の代わりにT1を使い、同調コンデンサを変更して、3.5MHz帯で発振させて、その2倍の信号を利用するようにします。T1が本来使われていた混合部に7MHzのFCZコイルを使うことで、7MHzの信号がダイレクトに音声信号に変換される仕組みです。
 写真は、T1を利用した局発信号の様子ですが、25MHzぐらいまでは、そこそこ出ていますので、多少の感度不足を我慢するなら、14MHz、21MHzなどの受信機にすることもできそうです。もちろん、発振周波数をシフトさせれば、10MHz、18MHzなども可能でしょう。
(ちょっとのぞいてみる、ぐらいの気持ちでね)

 
   





































 

 製作の前に、パーツチェックをしますが、そのとき、リストにあわせて一つ一つの部品をリスト横に仮に貼り付けておくと能率良く製作ができそうですね。カラー抵抗の表示を見てすぐに値を読める人以外は、最初の部品分けは大変有効だと思われます。

 どこから作り始めてもいいのですが、PJ-40では、周波数調整があることを考えて、局発部分から始めるといいでしょう。大雑把に、回路図の下側の部分です。見づらいかもしれませんが、写真を参考にしながら、部品を取り付けていきましょう。

(PJ-80を作る場合には変更はなく、オリジナルのまま)
●T2をT1に変更(T2コイルは使わない)
●C14を50pFに変更(C3用のものを流用)
●C15を30pFに変更(追加)
●C16を270pFに変更(追加)
●C18を1000pFに変更(C16用の102を流用)
●R14を1.3kΩに変更(追加)
●D3は使わない

動作:
・T1とC14で、3.5MHz帯に概ね同調させる
・C15を下げて周波数可変範囲を狭める
 FV1043の影響を少なくさせるように動作する
・C16とC18を下げて、発振動作を安定させる
・R14を高めにして、周波数可変範囲を狭める
 可変抵抗W2の相対可変範囲を調整するのが目的で
 1.3kΩぐらいで7MHzにて200kHzほど動く
 同調のしやすさなどのために数十kHz可変などに
 変更する場合は、1.3kΩを4.7kΩとかにする
 C15をいじるよりも抵抗の方が調整しやすい
・周波数安定化のためには、ツェナ・ダイオード
 よりも三端子レギュレータの方が有利なので、
 システム全体を変更してしまう。同調コンデンサや
 同調コイル、トランジスタなどの素子の温度などの
 影響の方が大きいので、劇的な改善は難しいが…




















 

発振周波数、可変周波数範囲の仮調整:
 R7を仮につないで、動作チェックをします。
 適当な測定器がない場合、ゼネカバ受信機などで、まずは発振しているかどうかを探ります。近づければ、結構強力に受信できると思うので、3.5MHz帯を中心に上下数MHzぐらいを探してみてください。ピーという信号が聞こえれば一安心です。(^_^)
 3.5MHz付近で発振するように、コイルのコアを回してみましょう。かなり広い範囲を動くので、ゆっくりと回してください。無理に回してはいけません。
 周波数可変用可変ボリュームW2を左に回しきった最低周波数と右に回しきった最高周波数をチェックし、希望する周波数可変範囲になるよう、R14を少し調整(抵抗値を変更)します。周波数安定度があまり良くないので、下側10kHz、上側数十kHzぐらい広めにしてヨシとすることをお勧めします。R14を大きくすると可変範囲が狭まります。可変範囲幅のおよその調整であって、周波数を正確にあわせる必要はありません。(この後も変わるので無駄です)
 
   



































 

 周波数安定化のために三端子レギュレータを取り付けます。まず、R7を取り外しておきます。
 R7の写真で右側が入力、左側が出力で、真ん中を通っているラインがちょうどGNDになるので、これを利用します。
 GNDラインの一部を軽く削って、表面の皮膜を取り除き、銅箔面が露出するようにします。写真よりももう少し長い範囲の方がよさそうです。
 GNDピンを出すための小穴を写真の位置辺りに開けます。GNDラインを切断してしまわないようにしてください。基板の裏面に三端子レギュレータとパスコンを取り付けてもいい方は、穴を開ける必要はありません。

 下の写真の右上、象の頭と耳のようなところが、三端子レギュレータとパスコンの様子です。
 三端子レギュレータは、あまり足を短くしない方が、パスコンを取り付けやすくなります。パスコンは、足が短い方が異常発振を防げます。

 今回、「PJ-80を利用される方の便利のために」と、三端子レギュレータと006P電池用のスナップを無償提供してくださっている方の78L05を利用しています。そのため、単3電池4本では、十分な入力電圧が得られないことがありますので、9vの006p電池を利用してください。可能ならば、7.2v〜8.4vの低めの電圧の方が安全です。間違っても、12vの定電圧電源をつないだりしないでください。コンデンサの耐圧が低いので危険です。3.3vの三端子レギュレータをお持ちの方は、そちらを使えば、単3電池4本での動作も安定しますし、安全ですね。
 テスト中の周波数変動の様子を考えて、簡易型として、これでもいいや、という方は、R7をそのまま利用するのもいいでしょう。その場合は、一応、3V6のツェナ・ダイオードを使っておきましょう。






















 

 続いて、RF部です。
 T1とC3が写っていませんが、自分の好みの周波数に対応した同調部をつなぐことで、ある程度、受信周波数帯を変更できます。今回は、7MHz用のFCZコイルを利用します。

(PJ-80を作る場合には変更はなく、オリジナルのまま)
●T1をFCZコイル(10S7)に変更
●C3は120pFに変更(100pF+30pFを並列)
●VD3は、三端子レギュレータを使うので、不使用
●S1は、ARDF受信機の指向性切り替えで、不使用
●R15は、ARDF用で、不使用

 バーアンテナは、コイルの線も細いし、バーを落として壊しやすいので、一番最後に取り付けます。
●バーアンテナのコイルは、1次側を10回ほどく
 (7MHz付近に同調するよう変更するため)
●同じく、2次側を5回ほどく
 (インピーダンスを整えて、異常発振を防ぐため)


 
   




























 

 AF部と仕上げです。
 T1コイル以降が可聴信号で、簡単なローパスフィルターを利用して混信を抑えます。周波数特性としてのフィルターは、まぁまぁですが、極端に強い信号が入ったりすると、異常発振を起こしたりすることもありそうです。
 本来は、RFゲインとAFゲインを別々にコントロールできると、強い信号が入ったときにも弱い信号を聞き取りやすくなるのでしょうが、2連ボリュームで同時に動かす仕組み(ARDFなら問題はない)なので、限界があります。バーアンテナでそれなりに強い局は聞こえてきますが、大きなアンテナをつなぐと(2,3回リンクさせる)飽和しやすくなります。
 AF部は特に調整するところはありませんが、全体として異常発振を起こすことがありますので、安定した動作になるよう、場合によっては手を加えることも出てくるかもしれません。

 改造する場合には、上記、RFゲインとAFゲインを別々のボリュームでコントロールすると使いやすくなるかと思います。
 ケースに組み入れる場合、基板上のボリュームにあわせて加工するのは大変だと思います。別々にコントロールする改造にあわせて、基板外にボリューム、イヤホン端子、アンテナ入力を出してしまう方がいいでしょう。この辺りは好みですので、各自で工夫してみてください。相談には乗りますが、今回は、部品等の用意は、特にはしていませんのでご了承ください。



























 

 今回、バーアンテナを利用した形にしていますが、利用するアンテナとの組み合わせ次第(ダイポール等の大きなアンテナを使うなど)で、バーアンテナではなく、ここもFCZコイルを使って安定化を図るのもいいかと思います。
 ケースに入れるなどで、バーアンテナが邪魔な場合は、半分ぐらいに折るとか、FCZコイルに変更するといいですね。
 ケースに収めるまでには、まだしばらく工夫が必要ですが、ぜひ、がんばってみてください。ケースに入れると、同調周波数などはかなり動きますので、その時点での最終調整が必要になります。

 とりあえず完成したら、調整を行います。
●W2を左に回しきって、希望する最低受信周波数の10kHz程度低い周波数にあわせます。T1コア
●W2を右に回しきって、希望する最高受信周波数の数十kHz程度高い周波数にあわせます。T1コア
 周波数の高い側は、少し動かしただけで大きく変化しますので、不必要に可変範囲を広げないでおいて、しかも、ゆとりをもたせる方が使いやすいでしょう。
●一番使いたい周波数付近(クリック付近が便利か?)で感度が高くなるように、FCZコイルのコアとトリマを調整する。
●バーアンテナのコイルの位置も動かして調整する。
●これらを適宜繰り返して、総合的に使いやすくする。
 
 自分で作った受信機(基板)で信号が聞こえた〜!という楽しみを味わうレベルの
工作かもしれませんが、これを元にして、発展させることはできますので、各自の工夫を
期待しています。(年度末の県支部大会での製作コンテストに参加してくださいね)
 
パーツリスト カラーコード
 
R1 燈白燈金 39k 0 黒
R2 茶緑燈金 15k 1 茶
R3 茶黒赤金  1k 2 赤
R4 茶黒赤金  1k 3 燈
R5 茶黒赤金  1k 4 黄
R6 燈白赤金3.9k 5 緑
R7 不使用(150) 6 青
R8 茶黒黄金100k 7 紫
R9 茶黒赤金  1k 8 灰
R10 灰赤赤金8.2k 9 白
R11 赤黄燈金 24k
R12 茶黒赤金  1k 1%茶
R13 黄紫赤金4.7k 5%金
R14 茶燈赤金1.3k 10%銀
R15 不使用
 
C1 トリマ
C2 103 .01
C3 100p+30p
C4 473 .047
C5 103 .01
C6 103 .01
C7 470μ
C8 104 .1
C9 470μ
C10 .47μ
C11 103 .01
C12 10μ
C13 100μ
C14 51 51p
C15 100 100p
C16 270 270p
C17 103 .01
C18 102 .001
C19 473 .047
C20 102 .001
 
T1 FCZ10s7に変更
T2 T1に変更
 
VD1 1N60
VD2 FV1043
VD3 不使用(3V6)
 
78L05
パスコン 104 .01
パスコン 104 .01