TARC NEWS 229号 2013年3月24日発行3月25日一部記事書換追加 http://www.jarl.com/tarc/
TARCNEWS
TDKアマチュア無線倶楽部
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JARL登録番号 10−3−49


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QSO Mode


7K3OWM/JA0ASIのシャック
7K3OWM/JA0ASIのシャック

PSK−31のススメ

成田 7K3OWM also JA0ASI 山下 信一

小電力でもDX通信が楽しめる

1、PSK-31とは

 考案者であるG3PLX(Peter Martinez)が1997年に80m帯で距離50Kmにて伝送実験を開始し、翌1998年に方式を公開した最新の文字通信モードです。

 PSK-31はパソコンのキー・ボードを入力装置とし、モニター画面を出力装置とした無線による文字通信です。
これまでのRTTYを省電力・狭帯域にて実現しており、全世界で普及して来ています。世界各局の設備の平均像はバーチカル・アンテナと30W出力です。

 簡単な設備でCWと同等の飛びとインターネット上のリアルタイム・チャットと同様の操作感を味わえる非常に魅力的なモードです。

 PSK-31のPSKは位相シフト・キーイングであり、31は帯域幅の31.25Hzに由来しています。
簡単なインターフェイス・ボックスとフリー・ソフトの追加、および電波形式F1の免許取得で誰 でも気軽に運用できます。
PSKは2相のBPSK(Binary Phase-Shift Keying)と4相のQPSK (Quadrature Phase-Shift Keying)がアマ無線では実用化されていますが、実際は扱いやすい BPSKがほとんどです。

 なお、米国、欧州では、BPSK−31、BPSK−63、BPSK−125、およびこれらの混在モード、さらにQPSK−63のデジタルモードコンテストがあります。当然、QPSK−63が最も早い文字通信ができます。

2、主な運用周波数帯と送信電力

 現在アマ無線で利用されているPSK-31の主な運用周波数は、7.029MHz、10.141MHz、14.070MHz、18.100、21.070MHz、28.120付近となっています。
このあたりの周波数で、SSBの「ピロピロピロ」という受信音が聞こえたら、それがPSK-31の音です。
当局は7〜18MHzはダイポールなので、通常の送信電力は30W程度、21、28MHzは4ELEビームアンテナですので、10〜20Wに抑えています。大電力、過変調は周りの局に迷惑をかけてしまいます。

3、パソコン用フリーソフト

 各種あるようですが、日本の局が最も利用しているのが、MMVARIです。このソフトを使えばPSK-31、PSK-62、RTTY等が可能で、自作の英文、和文マクロをかなりの種類利用できます。
インターネットでダウンロードできます。PSK-31はチャットで訂正バックキーが使えるのは非常に便利です。なお、和文もOKですが、かなりスローになります。
キー打ちが遅い方はかえって都合が良いかもしれませんが・・・・。なお、RTTYだけならMMTTYがおすすめです。

4、パソコンとの接続

インターフェイスとシリアルポート/USB変換アダプター(パソコンにシリアルポートが無い場合)が必要です。
インターフェイスユニットは自作もできますが、当局はテクニカルシャック製のDIF-3plus(約7000円)を使っています。

リグとパソコンはインターフェイスを通してABPSKモードでサウンド信号をやりとりします。
PCのサウンド出力と無線機の音声入力端子(MIC,LINE,MODなど)を接続して、PSK-31の信号を音声として無線機に送り出し送信します。
信号を音声として無線機に送り込みますので、マイクロフォンを繋ぐことができる無線機の殆どで使用することができます。

5、無線局の変更申請(届出)

 デジタル通信を行うには、免許の一括記載コードの範疇にあったとしても、無線設備の変更申請(届出) が必要です。
内容は、デジタル通信で使用する送信機の発射可能な電波の形式の追加、系統図、付属 装置の諸元表等です。
送信機によっては単独でPSK、FSKが可能ですが、MMVARIなどのフリーソフト でABPSK、AQPSK、AFSKなどのパソコンデジタル変調を行う場合は変調装置の追加申請(届出)が 必要です。

また、新規局免許申請の場合も系統図、付属装置の諸元が必要です。
但し、無線局免許状そのものは一括記載コードですので、ほとんどの場合何も変更はありません。 申請→許可だけとなります。

当局は7K3OWM(関東総合通信局)もJA0ASI(信越総合通信局)も変更申請(届出)してあります。
当局が変更申請に際して参考にしたウェブは以下のとうりです。各自の免許の内容、送信機の諸元を 確認して作成してみてください。

http://homepage2.nifty.com/jn4vac/digital/digital.htm
http://jh2cmh.idou.net/sstv/henkou.htm

6、デジタル通信の実績

 当局のデジタル通信の今までの状況は以下のとうりです。
ほとんどがDX局です。
PSK-31(BPSK-31): 620局
PSK-63(BPSK-63): 10局
JT65:      350局
RTTY:      100局

上記JT65はPSK−31よりさらに小電力で通信が可能ですが、こちらは 別の機会にご紹介いたします。

マクロの書き方例

 PSK-31での交信の参考として、私が作成したMMVARIマクロ文の一部を以下にご紹介します。

 <%ClearTXW><%TX>
CQ CQ CQ de <%MyCall> <%MyCall>
CQ CQ CQ de <%MyCall> <%MyCall> pse K
<%RX>

<%TX>
=== <%HisCall> <%HisCall> de <%MyCall> ===
Tnx for your call Nice to meet you on waterfall
Your RST(Q) is <%HisRST>-<%HisRST> coming into nr Tokyo
NAME: Yama Yama Yama
QTH: Narita Narita - 50km east of Tokyo
EPC#1936 JCC#1211 LOC: QM05DT More info on QRZ.com
BTU Hw copy? .... <%HisCall> <%HisCall> de <%MyCall> kn
<%RX>

<%TX>
=== <%HisCall> de <%MyCall>(Yama) ===
OK My friend <%HisName> Tnx Rept & Info All copy
My Station is --
Radio: FT-950 Pwr: 20W
Antenna: 4eleHB9CV(21,28MHz) DIPOLE(Other MHz)
Software: MMVARI
Computer: Win7,64bit,Corei5
BTU Hw Copy?
<%HisCall> de <%MyCall> kn
<%RX>

<%TX>
=== <%HisCall> de <%MyCall>(Yama) ===
Fine Copy My friend <%HisName>
QSL: eQSL(AG), LoTW, BURO, All OK
Tnx nice BPSK31 QSO
All the best to you & "SAYONARA"
<%HisCall> <%HisName> de <%MyCall> TU SK SK....
<%RX>

あとがき

 写真は、QRZ.COMにも掲載している私のシャックです。
上段は昔のトリオ9R59受信機と自作の807sの10W送信機、下段は430MHz専用のIC−375DとHF用のFT−850、FT−1011、右側は使用中のFT−950となります。後ろの小画面はJT65の運用画面です。

 CWができなくても、小電力でDX交信の可能性が大きく広がるPSK−31やJT65の魅力を皆さんに伝えてください。

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