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自動的に生成された説明日赤愛知災害管理センター棟からJARL愛知県支部非常通信訓練に参加

名古屋第二赤十字病院アマチュア無線クラブJE2ZND 佐藤公治JR2TDE

東海市非常通信協力会 竹内篤郎JR2BNR、辻隆一郎JF2SYH

ボランタリオ・フジタ無線クラブJJ2YNT 若月徹JS2GNX

【はじめに】

 2020926日土曜日に行われた恒例(24)JARL愛知県非常通信訓練に、当院に新築された日赤愛知災害管理センター棟から参加した。また東海市役所と藤田医大の関連アマチュア無線クラブと合同訓練を行ったので、その内容を合わせて報告する

【日赤愛知災害管理センター棟完成】

ダイアグラム

自動的に生成された説明 20208月名古屋第二赤十字病院(八事日赤)病棟の南に建設された(写真1は外観と自己完結設備)1914年設立の当院は106年目である。100周年記念行事として、またきたる南海トラフ地震災害対策のために計画された建物である。免震構造4階建てで、自己完結型のインフラを整備した。当院は地盤の固く標高のある名古屋市東部に位置し、日赤の救護班はじめDMATなどの救援隊の参集場所、日本赤十字社愛知県支部の災害対策本部の置かれる可能性が高い。全国で災害拠点病院に隣接して建設された例はない。

 平時は病院の危機管理を行いつつ、市民向けの防災や救急法などのセミナー、会議室、救護物資の倉庫としても活用する。またここから全国の災害屋内, 部屋, テーブル, 座る が含まれている画像

自動的に生成された説明地へ当院の救護班が出動する。日赤豊田看護大学のサテライトキャンパスも付属している。

 

【新たな無線室増設】

 従来の無線室は、10階建ての第1病棟の屋上室にあり、八事レピータJP2YGB/JP2YGGJE2ZNDのリグが置いてある(1シャック)430MHzFM1200MHzFM1200DV/DDレピータが設置してある。名古屋大学レピータや春日井市役所レピータと共に名古屋D-STARネットワークを構築している。ここでHFから2400MHzまで運用可能である(写真は八事レピータのある第1シャック)

このたび新設災害棟の情報室にJE2ZND2シャックが完成した。若干年季の大きい, 座る, 光, ストリート が含まれている画像

自動的に生成された説明入ったリグがあるが、災害時にここからアマチュア無線の運用ができる。第1病棟が稼働不能の際は、レピータをここへ移設して運用可能である。当然、建物は免震構造で、自家発電装置を完備した茶色コンセントへリグは繋いでいる。4階建ての屋上にはHFVHF/UHFGPアンテナを設置した。

【今年のJARL愛知県支部非常通信訓練】

 毎年秋の土曜に企画される。朝9時から1時間、アマチュア無線による交信を行い、10時からその局数を本部局へ報告する。全体局数を本部局から聞いて終了となる。JE2ZNDは当初より20年にわたりほぼ毎年参加している。今年はコロナ禍で愛知県・安城市総合防災訓練が中止となり、愛知県広域ボランティア支援本部訓練と同日となった。

 今年は東海市役所屋上で運用した東海市非常通信協力会が愛知県本部局となり集計をまとめた。さらに東海市と豊明市のクラブとHFDVによる画像通信、Zoom(インターネットオンライン)での情報共有も試みることとした。

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自動的に生成された説明【当日の準備はばたばた】

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自動的に生成された説明 院内外からクラブ員、見学者が8名集まった。災害棟の新築から1か月まもなく、またコロナ禍で忙しく、運用テストをする機会が無く当日を迎えた。8月にリグの移動はしたが、アンテナの接続や交信テストはしていなかった。8時に集合したが、まさに災害の本番さながらであった。まずHFの古いリグ(TS680S)のマイクがガリオームで接触不良、ALCが振れず、マイクを分解し、直すのに焦った。アンテナチューナーのスイッチも接点が悪いのか、はじめはSWRが悪かった。どれも古いリグで日頃使っていないのが仇となった。またD-STARのリグは新しいのは良いが機能が複雑で、Androidパッドと繋ぐのが、これまた急に使うのは難しい。やはりいつもから使い慣れることが重要である。

 第2シャックは綺麗で空調も良く、環境は完璧である。気持ちよく訓練ができた。

Zoomオンラインの設定】

ノートパソコンで作業をしている人たち

自動的に生成された説明 今回はICT(Information and Communication Technology)の最先端機器の駆使してある災害棟の情報室から運用するので、オンライン会議システムZoomも併用した。訓練風景を情報共有し、バックボーンとして設置した。情報室は衛星通信も完備するので災害時にもインターネットに通じるはずである。

9時訓練開始】

 JE2ZNDは八事FMレピータを使い各局と次々QSOした。結局18局とQSO、県内17、県外1(岐阜)であった。刈谷DVレピータ434Mは八事FMレピータ439Mとリバース周波数設定なので、毎年のことだが混変調を起こし上手く通信できない。建物外へも出てみたが刈谷まで20kmあり、この棟の高さでハンディでは届かなかった。刈谷DVレピータを使った訓練は、豊明市で運用のボランタリオ・フジタ無線クラブJJ2YNTに急遽依頼した。

10時から本部局との通信訓練】

 1時間で一般局との交信は終了し、HFでの通信訓練も兼ねて交信局数などを東海市の本部局へ報告した。また東海市役所と藤田医大とHFで交信した。当院から共に14 km8kmでローカルなので短波はスキップして難しい(レピータ地図)7MHzLSBは混信でRS31了解できず。21MHzUSBは豊明となんとかRS4150MHzFM47-57で交信できた。

 D-STARの画像通信を利用し、訓練風景の写真や災害診療記録を送ってみた(写真)。やはり文字情報では160*120では判読できず(電送写真1)、写真も640*480なら鮮明である(電送写真2)

マップ

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【東海市役所での運用の様子】

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自動的に生成された説明東海市非常通信協力会は、名古屋市の南部に隣接する東海市内のOM各局、臨海部企業の職員並びに東海市役所の職員からなる団体である。東海市との間で平成24年に災害時非常通信の協力に関する協定書を締結し、その協定に基づき、非常用発電機が設置されている市庁舎7階にD-starのレピータを設置するとともに、毎年実施している東海市防災訓練に協力している。今年度はHFを使用して情報共有を試みることになったため、市庁舎7階屋上に全ての機材を持ち込んでの訓練となった(写真9)

訓練当日は有志7人が8時に庁舎に集合し、HFアンテナ2本、UVHFのアンテナ3本を臨時に設営した。9時から145M432MD-star3波による運用を行い、計43局とQSOすることができたが、抑圧の影響が強く、連絡用に設定した周波数での運用は困難であった。また、Zoomの併用については、他の訓練局の様子が分かり有用なツールであることが確認できた。

訓練終了の10時から愛知県の本部として受信体制に入るとともに、HFでの訓練を開始した。7MHzLSBは混信で全く交信が成立せず、21MHzUSBの受信はかろうじてできたが東海市からの各局への送信は受信ができなかったが、50MHzFMでは交信が成立した。また、参加局の交信数の報告は、一部の局と直接交信することができず、その対応については今後の課題となった。

【藤田医大(豊明)での運用の様子】

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自動的に生成された説明藤田医科大学のボランタリオ・フジタ無線クラブJJ2YNTは昨年に引き続き2回目の参加となった。今年度はキャンパスの北側に位置するアセンブリホール(体育館)の玄関外側の庇の下に臨時に無線局を開設した(写真10)

今回は初めてZoomによる3元中継もあり,中継パソコンの設置でLANケーブルを忘れるなど,準備がバタバタだった。また同時にHFやその他のバンドでの運用を行う予定で車両を横付けしていたが,思った以上に抑圧の影響が大きく,9時から10時の訓練中の運用はほとんどできなかった。これも経験しなければわからなかったことである。一方Zoomによる中継はかなり有効で,訓練開始前に日赤佐藤から刈谷レピータの主たる運用をボランタリオで担当する旨の指示を頂いた。コロナ禍ということで学生のクラブ活動が禁止されているため教職を含む有志計5名が参加した.訓練のオペレーションは今年4月に入学した医学部1年生の女子学生が担当した.彼女はかつて高校のクラブ局でコンテストに参加するなど経験豊富である.非常通信訓練の運用は初めてとのことだったが,周囲のサポートもあり,すぐに訓練に慣れ,次々とQSOを重ねた.午前10時の訓練終了時点で刈谷レピータのみで県内14局との交信を行うことができた.

 HFの運用や画像伝送訓練で事前にできたはずのタブレットの設定がうまくいかず送受信ができないなど,いくつかの課題は残ったが,ドローンによる情報収集訓練など新たな試みもできた.

11時から災害棟の見学会】

 やはり皆の興味があるのは屋上のアンテナ群である。災害対策本部はさながらサンダーバード基地(ちょっと古いか)である。屋上の非常電源は500KVA重油発電機で1週間保つ。地下に機材が埋めてある非常用トイレ、地下室の井戸水清水器からの水を試飲し、災害機材庫や救護班の待機室などを見学した。

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自動的に生成された説明人, 屋内, 立つ, 男 が含まれている画像

自動的に生成された説明机の上のノートパソコンを見ている人たち

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自動的に生成された説明

 

 

 

 

 

 

【まとめ】

 愛知県のアマチュア無線レピータは行政や公的施設に設置してあるのが多くある、災害にもインフラの確保ができ役立つことと思う。日頃から顔の見えるネットワークを構築し、いざという時も使える組織にしたい。

 やはり日頃の訓練は必要である。またリグは常に使っていることが大切である。平時はスマホが大変便利だが、災害時には多種の通信手段があることが望ましい。当災害棟はサテライト(衛星通信3種類)、防災無線、医師会無線、赤十字無線(専用周波数)で緒機関と連絡が取れる。最近、職員のハム離れも甚だしく、クラブ員も減少気味である。いろいろな楽しみをアピールしていきたい。

この日は、アマチュア無線の短波通信の醍醐味、久しぶりにノイズや混信の中から聞き取る耳フィルターがよみがえった半日だった。

 

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2020.9.26 日赤愛知災害管理センター にて非常通信訓練

名古屋第二赤十字病院アマチュア無線クラブ JE2ZND

mailto:je2znd@qsl.net