TARC NEWS 402号 2020年8月29日 http://www.jarl.com/tarc/
TARCNEWS
TDKアマチュア無線倶楽部
JM1ZOR発行責任者JA8ALT
JARL登録番号 10−3−49


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Award


WAS達成のご報告と主なDXアワードのご紹介

千葉 JA0ASI/7K3OWM 山下信一

 新型コロナはなかなか収束しませんが、皆さんは無事にお過ごしでしょうか。

 最近、アマチュア無線は各バンド、各モード共に家に閉じこもっているOMさんが多いせいか、幾分賑わいが戻っているような気がします。私もご多分に漏れず、無線機の前に座っている時間が長くなりました。

 そのおかげで、10年来、あと1局が Confirm できませんでしたARRL(アメリカ無線中継連盟)のアワードであるWAS(Worked All States)を“Mixed”の部門で6月にようやく達成することができました。現在、アワード申請中で証明書の到着を待っているところです。

 すでに、TDKアマチュア無線倶楽部(JM1ZOR)の皆さんにはメールの近況報告で勝手にお伝えしましたが、電波伝搬のコンディションが良い時期にもうひと踏ん張りができず、且つ、その後の電波伝搬のコンディション 低下と当局のアクティビティー低下のためにあと 1 局がなかなか取れませんでした。

 そんな中、昨年から始めたデジタル通信の一種である FT8 の威力のおかげで、ついに念願のWASの達成に至ったわけです。 なお、メールで同時にご報告しましたWAZ(Worked All Zones)については、すでにSSB部門で 2007 年に達成、認定書もいただいていまして、今回の“Mixed”での申請はあまり 意味がなかったかもしれません。

WASを達成できた最後の州・NDの交信相手KΦHMZのアンテナ(by QRZ.COM)
WASを達成できた最後の州・NDの交信相手KΦHMZのアンテナ(by QRZ.COM)


 アマチュア無線の楽しみ方は局長さんによって千差万別で、SSB、CW、FM、RTTY、FT8 などのモードやHF、50MHz、144MHz、430MHz などの周波数による得意なあるいは好きな運用領域があると思います。

 さらには国内の移動運用が中心であったり、国内の各種アワード収集に情熱を傾けたりする局長さんも多いのではないでしょうか。

 その中で、海外局(DX)との交信を運用の中心においている局長さんはDXer と呼ばれています。私もどちらかといえばDX(海外局との交信)が好きで、DXer を名乗るのはおこがましいのですが、一応そのはしくれといわせていただきます。

 本格的なDXer の皆さんにからみれば、当局は「キャリアの割に、今頃WASの達成はご苦労様・・・」ということになり、一方ではDXに興味のない、あるいは縁のない局長さんは「何それ・・・」ということかもしれません。これからお話することは、一応「何それ・・・」組の皆さんを対象にさせていた だきますのでご了解ください。

 アマチュア無線のアワードは、交信した地域や局数など一定の交信実績に対して交付される証明書・認定書です。国内ではJARL発行のAJD、WAJA、AJA、JCC、JCGが有名ですが、DXの代表的なアワードには、DXCC、WAC、WAZ、WAS、WPX、IOTAなどがあります。

  以下に、主要DXアワードについて、JARL の“世界のアワード紹介”を参考にしてまとめてみました。

《DXCC(DX Century Club)》

 ARRL が定義した世界 100 エンティティー以上のアマチュア局と交信して QSL を得ることが要件で申請先は ARRL です。 DX アワードの中でも「人気実力」ともナンバー1といえるものです。

 100 エンティティーで基本アワードを得て、その後は追加申請(エンドーズメントとも言う)により、250 エンティティーまでは 50 ごとにステッカーが発行されます。 さらに 300 エンティティーまでは 25 ごとに、300 を超えると 5 エンティティーごとにステッカーが発行されます。

 現存する 340 エンティティーのうち、331 以上の CONFIRM が得られれば“DXCC Honor Roll”という称号が与えられます。 また、QSL カードがなくても ARRL の LoTW の QSL をそのまま使えます。次図は私の DXCC の証明書で、ステッカーは 200 エンティティーまで貼られています。現在、244 ですので、もう少し頑張って 250 になったら次のステッカーを申請する予定です。

 
DXCCアワード 200のエンドーズメントシールが貼ってある
DXCCアワード 200のエンドーズメントシールが貼ってある

《WAC(Worked All Continents)》

   IARU(International Amateur Radio Union)が発行する世界の6大陸(アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア)のアマチュア局と交信したアワードです。

 申請方法は JARL様式のアワード申請書を使えます。

 なお、6 種類のアワードがあり、希望により次の特記を付加できます。種類:Basic, CW, Phone, Image, Digital, Satellite 特記:QRP(5W 以下)、1.9MHz、3.5MHz、50MHz、144MHz、430MHz、1200MHz、その他(希望を記載する)

 この他に、5 バンドや 6 バンド WAC も発行されていますが、この場合 WARC バンドは除かれます。また、6 バンド WAC は 5 バンド WAC を取得しないと申請できません。(ただし、同時申請は可能です)。DXCC アカウントにクレジットされた QSL データを使っても申請可能です。

WACアワード(CW)
WACアワード(CW)
WACアワード(Phone)
WACアワード(Phone)

《WAZ(Worked All Zones)》

  米国のCQマガジン社が定める世界 40 ゾーンのアマチュア局と交信して QSL カードを得ます。

 日本はゾーン 25 に属します。日本語の所定の申請書により申請しますが、ARRL/LoTW の QSL を使って、ARRL 経由でも申請できます。

 特に、ゾーン 02 は遠征する局が極端に少なく、CONFIRM が難しいようです。

WAZゾーンマップ
WAZゾーンマップ
WAZアワード(SSB)
WAZアワード(SSB)

《WAS(Worked All States)》

 ARRLが発行する人気のアワードで、アメリカ合衆国の全 50 州のアマチュア局と交信して QSL カードを得ます。

 JARL の GCR が有効ですので、QSL カードを申請先の ARRL へ送る必要はありません。また、LoTW の QSL を使えますのでウェブ申請すれば簡単です。

 米国の東海岸の州、内陸の小さな州(SouthDakota,North Dakota など)が鬼門のようです。

 私の場合はNDの CONFIRM に 10 年近くを要しました。次図は米国 50 州の位置と私が CONFIRM できた LoTW のアワードデータです。四角の赤線で囲んだ QSLデータが、最後まで苦労したND局(K0HMZ)との FT8 による交信になります。

WASマップ
WASマップ
WASのチェックリスト
WASのチェックリスト
WASのチェックリスト
WASのチェックリスト

《WPX(Worked Prefix Award)》

 米国の CQ マガジン社が定める数のプリフィックスのアマチュア局と交信して QSL カードを得ます。追加申請も可能。所定の申請書により申請します。

 プリフィックスとは、アマチュア局のコールサインの最初の部分を形成する アルファベットと数字の組み合わせです。

 プリフィックスの数字、文字あるいはそれらの順序が異なれば、異なるプリフィックスとしてカウントします。

 また異なるエンティティーで運用する場合、自局のコールサインに運用するエンティティーのプリフィックスを付して運用しますが、このような場合は運用エンティティーのプリフィックスが、WPX ルールによるプリフィックスとなります。

 

《IOTA(Island On The Air)》

 RSGB (Radio Society of Great Britain)が発行するアワードで、RSGB の IOTA 委員会が定めた世界 100 島以上のアマチュア局と交信して QSL を得ます。

 申請先は、RSGB の IOTA 委員会の当該 Checkpointですが、日本国内では 1998 年から“チェックポイント”が任命されたため申請しやすくなりました。

 取得した QSL カードの提出が必須。

 DXCC では、日本は小笠原諸島、南鳥島、それ以外の計3カントリーだけですが、IOTA においては、本州、北海道、四国、九州、奄美大島、沖縄、壱岐、伊豆諸島、などさまざまな島がカウントでき、日本だけで 20 以上になります。

IOTA
IOTA


《eQSLの各種アワード》

 eQSLにも各種のDXアワードがあります。

 例えば、eDX、eDX100、eEurope、eAntarctica、eJapan、eNAmerica、eSAmerica、ePFX300、eWAC、eWAS、eZ40 等々です。

 比較的新しいアワードですから、権威や人気はもうひとつかもしれませんが、自分の QSL データを自動で集計してくれますので、アワード申請は大変簡単になっています。

 お金に糸目さえつけなければ、賞状をたくさんゲットできそうです。

eDX100
eDX100
eAntarctica
eAntarctica
eUK
eUK
eOceania
eOceania


以上が私のWASアワードの達成状況のご報告と主なDXアワードのご紹介でした。

 未だに太陽活動の低下が続いていて、電波伝搬の状況は芳しくなく、SSBはもちろんCWでもDXの局が聞こえてくることは非常に少なくなりました。

 こんな中、FT8 でQRVする局がますます増えてきて、特に、7.041MHz帯(国内)、7.074MHz 帯(DX)、10.136MHz 帯(DX)、14.074MHz 帯(DX)は四六時中結構賑やかです。また、DXペディションも FT8 で運用する局も多くなっています。私も現在、QRVするモードはほとんどがFT8 です。DXer にとって、今は FT8 さまさまというところでしょうか。

 なお、FT4 は 7.0475MHz、14.08MHzなどがDXの指定周波数ですが、コンテスト以外はまだQRVする局は少ないようです。最後に、私の現在のライナップをご紹介します。数年前にビームアンテナとR-DPおよびタワーを降ろし、今は、3.5~50MHz の HF は 2 階ベランダから上げたクリエートデザインの 330V-1A(V-DP)、144MHz、430MHz はダイヤモンドの GP という軽装になっています。リグは JA0ASI 用の FT-991(50W)と 7K3OWM 用 の FTDX3000(100W)がメインです。

 次の写真は私のシャックの FT8 運用の様子と現在使用しています eQSL のデザインです。FT8 のソフトは JTDX、ロギングは HAMLOG と JT_Linker になります。また、FT8 の QSL はすべて eQSL と LoTW のみの即時発行として、ペーパーQSL の発行はその他のモードでしか行っていません。

 
当局のFT8モードによる運用の様子
当局のFT8モードによる運用の様子
現在の当局のeQSL
現在の当局のeQSL

以上
 

   

 
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