D−STAR

21世紀のアマチュア無線

アマチュア無線のデジタル化とネットワーク化


 一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)では、D-STAR委員会(旧:次世代通信委員会・技術委員会次世代通信分科会・ワイヤレスネットワーク委員会)が中心となり「アマチュア無線のデジタル化とネットワーク化」についての検討を行っています。

 JARLでは、この「アマチュア無線のデジタル化とネットワーク化システム」を「D-STAR」と呼び、その推進プロジェクトを「JARL D-STARプロジェクト」と呼ぶことにしました。




【これまでのアマチュア無線のデジタル通信】

 これまでの「アマチュア無線のデジタル通信」というと、有線通信用プロトコルのX.25をアマチュア無線用に改良したAX.25を使用したパケット通信が代表的です。従来のアマチュアパケット通信は、AFSK方式やPSK方式のモデムを使用し、その通信速度は300bps、1200bps、9600bpsが主流でした。
 アマチュア無線のパケット通信が流行した当時、公衆回線を使用したパソコン通信も300bps〜1200bpsが主流で、アマチュア無線のパケット通信は、一般のパソコン通信と比べても全く見劣りのしない通信速度を確保していました。
 このパケット通信はV/UHF帯を主流として広く普及しました。通信回線の接続料を気にすることも無く使用できるため、アマチュア無線家の間で脚光をあつめました。「パケット通信を行ってみたい」という技術的な興味からアマチュア無線を始める方も多かったようです。
 パケット通信はその後、愛好者のボランティアでさらに進化を遂げ転送系システム(Foward BBS)が日本全国に構築され、全国規模でのデータ転送が可能となりました。一方、短波帯やアマチュア衛星を使用した世界規模のネットワークも確立されるに至りました。

【パソコン通信からインターネットへ・・・高速化とデジタル化がもたらしたもの】

 パソコン通信も広く一般に根付きはじめ、商用のBBSの大規模ネットワーク化が進みますが、さらに全てを取り込むような形でインターネットが急速に普及し、従来のパソコン通信はインターネットアクセスというスタイルに移行していきます。
 モデムの通信スピードの方も、2400 → 9600 → 14400 → 28800 → 33600 → 56000bpsと、年々その通信速度が向上していきました。
 さらに、公衆回線網のデジタル化もあいまってISDNが普及し、従来のAFSK方式では難しかった56kbpsの壁を破る64kbps/128Kbpsの通信が可能となり、さらに現在では、CATVやDSLといった技術が普及し、Mbps単位の高速データ通信が可能となっています。
 このように伝送速度の高速化(ブロードバンド化)が進むとともに、データ通信は画像、音声といったさまざまなメディアを包含していくこととなりました。

【アマチュア無線の世界でも進むデジタル化への機運】

 インターネットの普及、通信速度の高速化が進むなか、アマチュア無線の世界でも、より高速度の通信を求める先進的なハムが試作や実験を繰り返し、アマチュア無線の高速データ通信やネットワーク化の可能性を追求しています。
 現在、インターネットによる高速データ伝送が「画像や音声を初めとした、さまざまな情報を包含したメディア」として普及しているのと同様、アマチュア無線においても、高速度伝送が可能なデジタル化とネットワーク化をはかることで、さまざまな情報を包含した新しい通信のスタイルが見いだせる可能性があります。
 JARLの委員会でも、アマチュア無線のデジタル化とネットワーク化について、さまざまな検討を行ってきました。委員会で検討した、アマチュア無線のデジタル化とネットワークの基本構想については下記のとおりです。

   64kbps〜128kbpsの通信速度でデータ通信を行いたい。
   インターネットとの親和性を充分考慮したシステムとする。
   音声通信のデジタル化も検討し、新しい方式のレピータを実現したい。
   複数のレピータ局をデジタル化によりリンクしたい。
   既存のアナログFM通信等もレピータ局でデジタル変換して、新しいシステムを利用
    できるようにする。




【システム・イメージ】

 D-STARのシステム・イメージ図 




「D-STARに挑戦するための基礎知識」はこちら




戻る