上級ハムの国試問題をうだうだ解くコーナー 第6弾
平成27年12月1アマの無線工学から、めんどくさそうな問題を抜粋
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A-24
図に示す測定回路において、電流計の指示値がI [A]、電圧計の指示値がE [V] であった。抵抗 R の消費電力 P [W] を表す式として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、電圧計の内部抵抗を r [Ω] とする。
1 P = EI + E²/r
2 P = EI - E²/r
3 P = EI + I²r
4 P = EI - I²r
5 P = EI + I²r - I²/r
電圧計にr [Ω]の内部抵抗があるということは測定する回路の中に存在すれば、測定器といえどもそこに電流が流れます。それをI₂とします。
この問題の事はさておき、常識から考えれば、I₂ に流れる電流はごく僅かなはずです。なぜか?※1
電流の指示値が I [A]で、抵抗Rに流れる電流をI₁とすれば、
キルヒホッフの第一法則により、 I [A] = I₁ + I₂ になります。
ならべかえると I₁ = I - I₂ …①
I₂ の 電流は・・・
オームの法則により、I₂ = E/r になります。・・・②
抵抗 R で消費される電力 P [W] の求め方
電力=電圧×電流 だから、P = E × I₁ …③ ※2
③の式のI₁に①を代入すると、
P = E × ( I - I₂ )・・・④
さらに④の式の I₂ に②を代入すると、
P = E × ( I - E/r )
P = EI - E²/r
よって正解は2番
※1 余談:
電圧計の内部抵抗は当然大きいです。もし小さかったら流れる電流が大きくなるので、測定誤差が大きくなってしまいます。
しかし、アナログテスターは電圧値を表示するのに回路からエネルギーをもらって針を動作させています。(針を動かす電源を回路から取っているようなものです)
だから自ら光を発しない液晶表示のデジタルテスターに比べて内部抵抗が小さい。
アナログテスターは小さな電圧を測定するのには不向きです。
しかし、同じアナログテスターの仲間でも交流電圧計は測定器に電源があり、アンプを使って針を動かしているので、内部抵抗が大きく、回路から極僅かなエネルギーだけをもらっても作動するので、弱い電圧でも正確に測定ができます。だから別名「ミリボルトメーター」とも言います。
※2 電圧計の内部抵抗を無視すれば P = E × I です。 「抵抗」と名が付けば、さも電気が流れにくそうなイメージですが、考え方として、抵抗が存在するということは電気が流れる道があるということです。
仮に内部抵抗を無視するのであれば、内部抵抗 r は存在しないことになりますから、P = EI - E²/r の黄色い部分はなくなります。
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