人体通信(HBC)の研究

人体通信とは

 私たちは人の体の周りにまとわりついているように存在する静電気を用いた近距離無線通信の一方式の「人体通信」の研究をしています。人体通信は、人体に電流を流さず、人体の表面に発生する電界の変化を利用して情報を伝達する近距離無線の一方式です。そのため、人が直接、電極(大きな無線通信用のアンテナは不用で、小さな電極で通信できる)に触れる必要はなく、手を電極にかざすだけで情報の伝達が可能です。

 無線通信は、無線機器を扱う人から無線端末までの距離で分類されています。人から 100m くらいの通信距離を有する無線システムは「WLAN(Wireless Local Area Network)」に分類されています。これは、通称「無線LAN や WiFi(業界団体規格名)」と呼ばれ、みなさまもよくご存知と思います。人から 10m くらいの通信距離を有する無線システム(Bluetooth や ZigBee など)は「WPAN(Wireless Personal Area Network)」に分類されています。最近、話題のウェアラブル端末は、人から 2~3m くらいの通信距離を有する無線システムで「WBAN(Wireless Body Area Network)」に分類され、通称「人体通信HBC : Human Body Communication)」と呼ばれるようになりました。

人体通信の国際標準規格 IEEE 802.15.6

人体通信は、医療・ヘルスケアに用いる近距離無線として、国際標準 IEEE 802.15.6 の中の一方式として規定されています。

* 中心周波数 : 21MHz (1チャンネル)
* 周波数帯域幅 : 5.25MHz
* データレート : 164kbps ~ 1.14Mbps
* 64 ビット Walsh コードで拡散率を変更してデータレートを変える。
* 電界強度 :
 --- (1) 3 メートル離れた地点で電界強度は 500uV/m 以下
 --- (2) 30 メートル離れた地点で電界強度は 30uV/m 以下
* スプリアス強度 : MICS バンド(400MHz帯) にて -75dBr 以下
 --- dBr の”r”は Relateve(相対的な)の意味

人体通信の動作

 

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